静かな夜と白い夜
夏至祭 -Midsommar-
スウェーデン人にとって夏至祭は、夏の到来を祝う大切な伝統行事です。
スウェーデンの夏は一年で最も美しく、多くの人々が夏至祭に合わせて休暇をとり、
家族や友人との再会を楽しんだり、自然にほど近い郊外のサマーハウスで
ゆったりと時間を過ごします。
今年の夏至祭は6月21日(金)にあたり、夏を心待ちにしていた人々は
「スウェーデンの夏の到来」を歓び盛大に祝いました。
私が滞在したダーラナ地方のレクサンド周辺でも、
一年で日照時間が最も長い夏至の日は、夜なっても日が沈まず
滞在先にほど近いシリアン湖まで深夜の散策が楽しめる程でした。
詩的で幻想的な美しさを称えるシリヤン湖を抱えるダーラナ地方は、
民族的な伝統や美しい自然を残す地域として知られています。
ダーラナ地方のシリヤン湖周辺の街は、スウェーデンでも人気のある
観光地のひとつに挙げられ、ミッドサマー(夏至祭)の時期に合わせて、
スウェーデン全土から人々が集まります。
中でもレクサンドの街の夏至祭はスウェーデンの伝統的な夏至祭を
歴史や文化と共に味わう事ができます。
レクサンドの他にも、シリアン湖の周辺では地元の地域の人々がそれぞれ集まり
大小合わせて数十か所で夏至祭を祝う行事が行われます。
午後7時を過ぎても、まだ太陽が高い中を街中心部へ民族衣装を纏った人々が
伝統的な民族音楽を奏でながら集まってきます。
馬が引く荷台には、夏至祭に飾るための草花やモミの葉、
野花とつるで作った花冠を抱えて乗り込んでいる人々の姿が見られます。
また、レクサンド教会の辺りからはシリアン湖を横切るようにして、民族音楽を奏でる
楽団の到来を見ることが出来、さながらスウェーデンの遥か昔に
タイムスリップしたような雰囲気を味わうことが出来ます。
タイムスリップしたような雰囲気を味わうことが出来ます。
Photos by Kozue Yuzuki |
レクサンド地方特有の美しい手刺繍の民族衣装を纏い。
伝統的な船でシリアン湖を渡る、民族音楽団が岸辺に到着した様子。
Photos by Kozue Yuzuki |
レットビーク教会の歴史は古く1793年に建造されて以来、改修・増築を加えながら
現在もその姿を現在に残しています。
- 豊穣のシンボル「マイストング」をたてる -
腕に力のある男性陣が20Mを超える夏至柱を少しずつ垂直に立たせていきます。
夏至柱はスウェーデン語で「Majstång(マイストング) 」といい豊穣のシンボルです。
夏至柱を立たせた後は、民族音楽に合わせてダンスを踊り皆で祝います。
古い建造物や文化を残し、大切に皆で保存していこうという意識が一般の
スウェーデンの人々の中に浸透しているからこそ、今もこうして
美しい情景を生き生きと今に残しているのです。
夏至祭の運営も地元の方々が中心となり、伝統の継承を誇りに感じながら行っています。
今回の夏至祭体験で、自然と共にダーラナ地方の美しいライフスタイルを感じる事ができました。
皆さんも、神秘的なスウェーデンの夏をダーラナ地方で過ごしてみてはいかがですか?